河野 順子│白百合女子大学人間総合学部初等教育学科

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ゼミ紹介

 白百合女子大学に人間総合学部初等教育学会が開設され、今年で四年目となります。初等教育学科の第一回目のゼミ生が確定しました。
 河野ゼミでは、次の11名が学んでいきます。既に卒論の題目も決め、張り切っています。そして、力を合わせて、将来の教師目指して、専門職目指して夢を追いかけています。

2019河野ゼミ卒論題目

◎子どもの学習意欲を喚起させる導入の研究 井上 緒泉
◎アニマシオンを用いた子ども主体の授業の開発 宮入 雛子
◎入門期におけるコミュニケーション能力育成の研究
〜一次的ことばから二次的ことばへの移行に着眼して〜
向田
◎絵本「りんごをたべたいねずみくん」を用いた教材開発と授業開発の研究 高橋 優華
◎対話を生み出す「きく」ことの研究 山田 育実
◎自分の思いを表現し合い伝え合える力を育成する「かかわり」の研究 松本 実樹
◎根拠・理由づけ・主張の三点セットを用いた交流学習の研究 松本 真奈
◎入門期のコミュニケーション能力の育成についての研究 杉本 仁美
◎対話を可能にする三点セットの活用の研究 中島
◎主体的・対話的で深い学びを生み出すための発問研究 渡邉 瑠里
◎対話を生み出す読みの研究 柳澤 瑶美
河野ゼミ合宿
ゼミ合宿−葉祥明記念館前で−
杉崎勢の発表風景
日本国語教育学会熊本支部大会での4年生発表


 熊本大学の河野ゼミでは、学習者の側からの国語科学習指導の研究を理論と実践の統合により解明することを目指してやってきました。13年間の間に、130名のゼミ生を数えました。そして、現在、小学校、中学校、高等学校、研究者を125名輩出してきました。ゼミ生たちの絆は強く、学校現場の子どもの学びの事実から真摯に教育を学び合っています。最後の13期生たちも教師目指して、がんばっています。卒業後もゼミの輪は続いており、国語教育という見果てぬ夢について語り合い続けています。

《第13期生》


・濱崎真有   対話における「聞くこと」の研究
・出口  愛   入門期におけるコミュニケーション能力育成についての研究‐<わたしのことば>に着目して‐
・鶴田尚人   学習者に「アプロプリエーション」を引き起こす学習指導の研究‐説明的文章を中心に‐
・反後彰一朗  入門期における「世界・論理を捉える技能」を育成する説明的文章の学習指導研究
・小原優美   コミュニケーション能力の基盤としての質問力育成に関する研究
・下別府耕生  コミュニケーション能力育成の土台としての「かかわり」の研究
・高畑優記   読みの交流に関する研究
・樋口雄也   見方の詩教育の実践に関する研究
・石川英樹   論理的認識力を育成するための発問に関する研究
・土井敬至   説明的文章学習における条件的知識育成に向けた教師の教材研究に関する研究
・西村友莉那  読書に関する研究

《修士課程第6期》
・ 森崎愛日  「わたくしの言葉」を育てる説明的文章学習指導の研究
・ 村山和美  「対話」による書くことの学習指導の研究―三角ロジックを用いて―
・ 志賀由美  「読むこと」の交流に関する研究―「アプロプリエ―ション」に着目して―

《修士課程第7期》
・ 岩下嘉邦  アーギュメント理論に着目した「話すこと・聞くこと」の学習指導研究

ゼミ紹介に、東京法令『月刊国語教育 vol.29/No.4』平成20年6月号で取り上げていただいた「わが国語科・わが研究室」の記事を掲載したいと思います。

わが国語科、わが研究会
熊本大学教育学部
国語科教育ゼミ河野研究室

 熊本大学に赴任して5年が過ぎた。
 大学教員は、研究者であるとともに学生たちを教え育てる教師でもある。教育学部は将来教師になりたいという学生が集まってくる。しかし、入学後、教育という職業をとりまくマイナス面ばかりを聞きかじり、自信をなくしてしまう学生たちもいる。真面目であるが故に悩んでしまうのである。(ただし、こうした学生たちも、教育実習で児童・生徒と接する経験を通して、もう一度教師への夢を抱き始める。)

 なお、熊本大学では教育実習に行くのが3年次と他大学に比べて遅い。そのため、採用試験や大学院進学など自分の将来について意志を固めて、その準備に取りかかるのが遅くなりがちである。

 こうした状況のなかで、純粋で力のある学生たちが教育への夢を膨らませ、未来の教師として力をつけていくためにどうしたらよいのかを模索する日々である。

 私の専門が学習指導理論であることもあり、ゼミでは各自が現場実践に生きて働くテーマを設定し、理論と実践の統合を目指して研究している。学部時代に見出したテーマを教師になっても追究し続けて行くことができるように工夫もしている。

 その1つとして、私が現場の先生方と月1回月例会を開いている「国語教育湧水の会」に、学生の参加を呼びかけている。この研究会には、真に学習者の側からの学びを立ち上げようと努力している先生方が集ってくださっている。定例の研究会で勉強するだけでなく、そうした先生方の教室に入らせていただき、臨床的に研究できる貴重な機会も作るようにしている。実際の授業の参与観察を通して、学生たちが実感として教育を考える機会を持つこと、実践を通して理論を自分のものにしていくことをめざしている。

 実際、ベテランの先生方も子どもから学び、学生たちからも学ぼうとしている姿に出会い、学生たちは、教師として学び続けることのすばらしさを知り始める。

 また、参与観察を通して、先生方の様々な苦労や工夫に出会い、できないことは恥ずかしいことではない。教育学部にいながら教育について考えないことのほうが今を大切にしないことになるのだ。できないことを恥じたり、不安がったりするよりも、教育について前向きに考えていきたいと思うようになる。そして、教育へ抱えていた不安を吹き消していく。さらに、ゼミでの発表を通して教育について語り合って行く中で、教育観も育っていく。こうして3年次、4年次の2年間に、学生たちは大きく成長していく。今では既に16名が正式教員として教壇に立ち、2名は塾講師など他の職業に就き、あとの人たちは非常勤講師として教壇に立っている。

第1期生(平成16年度卒業)
第2期生(平成17年度卒業)
第3期生(平成18年度卒業)
第4期生(平成19年度卒業)
第5期生(平成20年度卒業)
第6期生(平成21年度卒業)
第7期生(平成22年度卒業)
第8期生(平成23年度卒業)
第9期生(平成24年度卒業)
第10期生(平成25年度卒業)
第11期生(平成26年度卒業)
第12期生(平成27年度卒業)
 
第1期修士(平成20年度修了)
第2期修士(平成21年度修了)
第3期修士(平成22年度修了)
第4期修士(平成23年度修了)
第5期修士(平成24年度修了)
第6期修士(平成25年度修了)

3 発表する場を大切に
 平成20年度卒業生、修了生たちは、昨年12月の日本国語教育学会熊本支部研究大会、さらに本年2月の熊本大学教育学部学部長裁量経費による「初等教科教育学習環境デザインワークショップ」において研究の成果の一端を発表した。いずれの場でも、自分の研究が現場実践に生きるべく、実践部分に力点をおいた発表であった。
日本国語教育学会熊本支部研究大会は、今回で17回目を迎えた。昨年、日本国語教育学会西日本大会を熊本の地で行ったことを機に、熊本大学教育学部、熊本県教育委員会、熊本市教育委員会の後援をいただき、熊本市・県小学校国語研究会、熊本市・県中学校国語研究会と共同開催を行うこととなった。そこで、熊本大学の学生たちの参加も促し、同時に現場の若い先生方との学び合いも活性化できればという県国語教育研究会の校長先生方のご配慮もあり、学生たちが参加する場ができたのである。ゼミの学生たちに持ちかけたところ、是非参加して自分たちがやってきたことが実践現場にどのように役に立つのか、実践現場の先生方の意見を聞きたいという反応が学生たちから返ってきて、希望者は発表させていただこうということになった。学生達の分科会は学生達の手による運営が行われた。

 当日は、県内の小・中学校から230人もの参加者を得て、実践現場からの様々な意見をいただくことができた。その結果、卒業論文、修士論文の仕上げにも拍車がかかった。さらに、発表を行ったことが学生たちの自信ともっと学びたいという思いを高めたことは予想外の成果であった。
一方、2月のワークショップでは、次の3つのワークショップを開催した。
○ワークショップ(1)

説明的文章教材の学びにおける習得と活用3年……「すがたをかえる大豆」を用いたワークショップを河野が担当。

○ワークショップ(2)

詩教材の学びにおける習得と活用(その1)…4年生の杉崎勢が山村暮鳥「りんご」を用いて、オリエンテーションによる教材との出会いをデザインした模擬授業をした。

○ワークショップ(3)

詩教材の学びにおける習得と活用(その2)…3年生の原之園翔吾が工藤直子『のはらうた』から「てれるぜ」を教材化して模擬授業をした。

 現場実践者の先生方からは、学生たちのはつらつとした模擬授業に刺激を受けた、若い力が育っていることを力強く感じたなどの感想をいただいた。私自身も、学生たちの意欲的な活動に随分力づけられた。

 こうした発表の場を継続していくかどうかは未定であるが、いずれにしても、学生たちの意志を尊重して、学生たちとともに教育について率直に考え合い、深め合っていけるゼミであり続けたいと思っている。

 最後に、こうした研究発表の場にゼミ卒業生たちが駆けつけてくれ、在学生であるゼミ生たちとの間に絆が生まれつつあることも望外の成果であった。卒業した学生たちにとっては流されていく日々を立ち止まる機会に、そして、在学している学生たちにとっては教育への夢を膨らませていく機会になったであろう。学生たちが就職した後も学生たちの教師としての成長を見守り続けられる場を確保していくことも大学としての大切な仕事だと考えている。
(文責:河野順子)
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